トップガン マーヴェリック(2022)の解説・評価・レビュー

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トム・クルーズ36年ぶりの続編 ---

『トップガン マーヴェリック』(原題:Top Gun: Maverick)は、2022年に公開されたアメリカのアクション映画。トム・クルーズが主演と製作を務め、監督は『オブリビオン』でもトムとタッグを組んだジョセフ・コシンスキーが担当した。
1986年の大ヒット作『トップガン』の36年ぶりとなる続編で、アメリカ海軍のエリートパイロット、ピート・“マーヴェリック”・ミッチェルの物語を描く。あらすじは、伝説のパイロットとなったマーヴェリックが若い世代の訓練生を指導しつつ、過去と向き合い新たな挑戦に立ち向かう姿を追う。

本作は、高精細な空中戦の映像美やリアルなフライトシーンが大きな話題となり、批評家からも観客からも高い評価を得た。興行収入は全世界で14億ドル(1,820億円 ※当時のレート、130円で計算)を超え、2022年の最高興行収入を記録。第95回アカデミー賞では作品賞を含む6部門にノミネートされ、音響賞を受賞した。撮影では実際の戦闘機が用いられ、俳優たちは過酷なトレーニングを経て撮影に臨んだことが知られる。公開後はノスタルジーと新鮮さを兼ね備えた作品として世代を超えた支持を集めた。

『トップガン マーヴェリック』のあらすじ紹介(ネタバレなし)


ピート・“マーヴェリック”・ミッチェル(トム・クルーズ)は、長年現場で活躍してきた海軍パイロット。ある日、彼はエリート訓練プログラム「トップガン」の教官として呼び戻される。今回の任務は、過酷な特殊作戦に挑む若いパイロットたちを指導すること。その中には、かつての相棒グースの息子、ブラッドリー・“ルースター”・ブラッドショー(マイルズ・テラー)も含まれていた。父親の死に責任を感じるマーヴェリックと、複雑な思いを抱くルースターの間には緊張が漂う。訓練を通じて絆を築く一方で、危険なミッションの準備が進む。過去の葛藤を抱えながらも、マーヴェリックは若者たちを導き、再び空へと飛び立つ決断をする。

『トップガン マーヴェリック』の監督・主要キャスト

※人名の後の()カッコは公開当時の年齢

  • ジョセフ・コシンスキー(60)監督
  • トム・クルーズ(60)ピート・“マーヴェリック”・ミッチェル
  • マイルズ・テラー(35)ブラッドリー・“ルースター”・ブラッドショー
  • ジェニファー・コネリー(51)ペニー・ベンジャミン
  • ジョン・ハム(51)ボー・“サイクロン”・シンプソン
  • グレン・パウエル(33)ジェイク・“ハングマン”・セレシン
  • ルイス・プルマン(29)ロバート・“ボブ”・フロイド
  • モニカ・バルバロ(32)ナターシャ・“フェニックス”・トレース
  • ヴァル・キルマー(62)トム・“アイスマン”・カザンスキー

『トップガン マーヴェリック』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 5.0 ★★★★★
・大切な人と観たい 3.0 ★★★☆☆
・ひとりでじっくり 2.0 ★★☆☆☆
・トムクルーズが観たい! 5.0 ★★★★★
・戦闘機が観たい 3.0 ★★★☆☆

時代を超えたレガシー作品

前作が公開された1980年代は、冷戦を背景にアメリカ的英雄主義を描いたエンターテインメントが隆盛を極めた時代だった。『トップガン』はその象徴であり、若きトム・クルーズが演じる型破りなエリートパイロット”マーヴェリック”は、反逆的でありながらも英雄的な男らしさを象徴するキャラクターとして記憶され、時代のアイコンとなった。

『トップガン マーヴェリック』は、素晴らしい続編であるに違いない。日本においても、アメリカに憧れた当時の若者たち=現代の中高年世代が何度も劇場に足を運んだという話を耳にする。オープニングで流れる「Danger Zone」や、マーヴェリックとアイスマンの再会は前作への深いリスペクトを感じさせる一方で、本作は最新技術を駆使したリアルな空中戦や、現代の観客が共感できる世代交代過去の清算というテーマが巧みに盛り込まれ、観客を魅了した。

様々なメディアにおいて、トップガンマーヴェリックを紹介する際に度々「レガシー」という表現が用いられる。「遺産」や「次の世代に受け継ぐもの」という意味だ。映画単体としての評価と前作への愛情が交差し、どちらに軸を置くかによって評価が分かれる作品かもしれないが、少なくとも映画史に残る作品なのだろう。映画好きの若い世代にも前作と合わせてお勧めしたい。

こぼれ話

本作のフライトシーンは、トム・クルーズの強いこだわりによって実現したものだ。使用された航空機はアメリカ海軍の全面協力を受けたもので、劇中の空母シーンも実際の空母で撮影された。キャスト陣には実際の戦闘機に乗り込み、Gフォースに耐えるための特訓が課されたという。特訓は過酷を極めたが、その甲斐あって、役者たちの表情や演技がリアルだ。
また、本作は劇場での体験に特化しており、IMAXなどの大画面フォーマットで鑑賞することで最大限の迫力を味わうことができる。トム・クルーズの「映画はスクリーンで見るべき」という信念が反映された形だ。

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