戦狼 ウルフ・オブ・ウォー(2017)の解説・評価・レビュー

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『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』(原題:Wolf Warrior 2)は、2017年に公開された中国のアクション映画で、2015年の『戦狼』の続編。監督・主演を務めたウー・ジンが、元特殊部隊員のレン・フェン役として再び登場する。物語は、アフリカの紛争地帯を舞台に、レン・フェンが現地に滞在する中国人と現地住民を救うため、武装勢力に立ち向かう姿を描く。

圧倒的なアクションシーンと愛国的なテーマが融合した本作は、公開当時、中国国内で歴代最高興行収入記録を打ち立て、全世界でも約8億7千万ドル(約1,000億円)の興行収入を記録する大ヒット作となった。リアルな戦争描写と迫力ある演出が高く評価され、中国映画のグローバルな躍進を象徴する作品となった。

『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』のあらすじ


『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』は、中国の特殊部隊を退役した主人公・冷鋒(レン・フォン)が、アフリカで危機に陥った中国人を救出するため、命を懸けた戦いに挑む物語。

冷鋒は過去の任務で重大な規律違反を犯し、特殊部隊を追われた後、アフリカで静かな日々を送っていた。しかし、反乱軍の襲撃に巻き込まれ、中国人の民間人が反乱軍に捕らえられたと知った彼は、再び戦場へと向かう決意をする。冷鋒は単独で救出作戦を開始し、現地の武装勢力や国際的な傭兵団との激しい戦闘に挑むことになる。

紛争地の厳しい現実の中で、人命を守ることに全力を尽くす冷鋒の姿は力強く、見る者に感動を与える。派手なアクションシーンやリアルな戦闘描写を通じて、主人公の不屈の精神と人々を守ろうとする決意が描かれるスケール感あふれる作品である。

『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』の監督・主要キャスト

  • ウー・ジン(43)監督・主演 レン・フェン
  • フランク・グリロ(52)ビッグ・ダディ
  • セリーナ・ジェイド(32)レイチェル・スミス
  • チャン・ハン(33)ホー・ジアン
  • ユー・チン(42)ロン
  • ユー・ナン(39)ロン・シアオユン
  • ハンス・チャン(34)傭兵リーダー

(役者の年齢は公開時点のもの)

『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 4.0 ★★★★☆
・大切な人と観たい 3.0 ★★★☆☆
・ひとりでじっくり 3.0 ★★★☆☆
・中国アクション! 5.0 ★★★★★
・ジャッキーも認める実力派 5.0 ★★★★★

新時代の中国アクション映画

主演のウー・ジンは、日本版予告のコメントにもあるように、「ジャッキー・チェンとジェット・リーの後継者」だとジャッキー本人に言わしめたその演技とアクションの両面で観客を魅了。日本の視聴者が期待する、往年のカンフーアクションもこの映画で魅せてくれる。
また監督としてのウー・ジンの演出も卓越しており、リアルな戦闘シーンや緻密に設計された爆破シーンは、ハリウッド映画に匹敵するクオリティで、まさに新時代の中国アクションといえる。
物語全体を通じて描かれる愛国的なテーマと自己犠牲の精神が、特に中国の観客に強い共感を与え、同国映画史上で最大のヒット作として名を刻んだ。

ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素

作品の愛国的なメッセージが過剰であるという批評も少なくない。特に、物語全体が中国の国力を誇示するような印象を与える点が、一部の海外視聴者からはプロパガンダ的と見なされた。ただ、特定の国を敵役に設定しておらず、国際展開を見据えて制作されており、政治的に過敏な視聴者も見やすいトーンに仕上がっているのではなかろうか。

こぼれ話

本作の撮影は、アフリカや中国国内の複数のロケ地で行われ、特に戦闘シーンには実際の戦車や艦船が使用された。

監督のウー・ジンは過酷なスタントを自身でこなし、多くのアクションシーンがCGを抑えたリアルな映像として仕上がっている。

興行収入は中国国内だけで約8億ドル(900億円)を突破し、公開当時の世界興行収入ランキングで上位にランクイン。さらに、作品の成功は中国映画市場の成長を象徴するものとされ、その後の多くのアクション映画に影響を与えた。

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