『ワールド・ウォーZ』(原題:World War Z)は、2013年に公開されたマーク・フォースター監督によるアクション・ホラー映画。主演はブラッド・ピットが務め、製作にも関与した。マックス・ブルックスのベストセラー小説を原作に、世界規模で発生したゾンビパンデミックの中、人類滅亡の危機に立ち向かう主人公の奮闘を描く。ブラッド・ピット演じる元国連職員ジェリー・レインは、感染拡大の原因を突き止めるため、家族を守る使命を胸に、世界各地を巡る危険なミッションに挑む。
本作は、テンポの良いストーリー展開と圧倒的なスケール感で観客を魅了し、全世界の興行収入は5億4,000万ドル(約540億円)を超えるヒットを記録。特に、大量のゾンビが波のように押し寄せる迫力の映像は強い印象を残した。製作時に脚本の変更や撮り直しが行われたにもかかわらず、批評的にも商業的にも成功を収めた作品であり、ゾンビ映画のジャンルを新たな次元へ押し上げた。
『ワールド・ウォーZ』のあらすじ紹介(ネタバレなし)
元国連職員のジェリー・レイン(ブラッド・ピット)は、家族と共に平穏な日々を過ごしていた。しかし、ある日突如として世界中で謎のウイルス感染が広がり、感染者が凶暴化して人々を襲うパンデミックが発生する。フィラデルフィアでの混乱の中、ジェリーは家族を守るために奔走し、何とか避難に成功する。その後、国連からの要請を受けたジェリーは、人類滅亡の危機を回避するため、感染の原因と治療法を探るミッションに加わることを決意する。
旅の行き先は韓国、イスラエル、ウェールズなど、感染が拡大する各地。ジェリーはそれぞれの地で異なる状況やヒントを得ながらも、感染者の大群や過酷な環境に直面する。命懸けの探索を続ける中で、彼はゾンビたちの行動に隠された手掛かりを発見する。果たして、ジェリーは感染拡大を食い止める術を見つけ、人類を救うことができるのか――。スリリングで壮大なサバイバルの旅が展開される。
『ワールド・ウォーZ』の監督・主要キャスト
- マーク・フォースター(43)監督
- ブラッド・ピット(49)ジェリー・レイン
- ミレイユ・イーノス(37)カリン・レイン
- ダニエラ・ケルテス(24)セガン(イスラエル兵士)
- ジェームズ・バッジ・デール(35)スピーク大尉
- デヴィッド・モース(59)元CIAエージェント
- ルディ・ボーケン(27)ヴェラ博士
- ピーター・カパルディ(55)W.H.O.の医師
(年齢は映画公開時点のもの)
『ワールド・ウォーZ』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 4.0 ★★★★☆ |
・大切な人と観たい | 4.0 ★★★★☆ |
・ひとりでじっくり | 2.0 ★★☆☆☆ |
・走るゾンビ! | 5.0 ★★★★★ |
・ブラピの中年期 | 5.0 ★★★★★ |
ゾンビ映画の新基準
「ゾンビ」題材のドラマや映画が流行した2010年前後、同ジャンルの映像作品が量産される中において『ワールド・ウォーZ』はとりわけ評価が高いもののひとつ。壮大なスケールと緊張感溢れるストーリー、とりわけエルサレムの壁をゾンビが押し寄せるシーンや「走るゾンビ」が強烈なインパクトを残し、ジャンルの新たな基準を作るほどの評価を残している。
冷静かつ献身的な主人公ジェリーを熱演したブラッド・ピットも高評価。テンポの良い展開と、各地を巡る構成は、世界的規模のパンデミックという設定に説得力を持たせ、多くの観客を引き込むことに成功した。
ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素
原作小説の持つドキュメンタリー的な構成が映画ではほとんど反映されておらず、原作ファンからは批判を受けた。また、制作過程での脚本変更や撮り直しが影響し、物語の一部が不自然に感じられる箇所あり。特にラストの展開は急ぎ足でまとめられた印象があり、もう少し深掘りされた結末を望む声もある。ゾンビ映画としてはアクション重視の作風であるため、ホラーとしての恐怖感を期待する観客にはやや物足りない部分がある。
こぼれ話
本作の制作過程は波乱に満ちており、特に脚本の書き直しが大きな話題となった。当初予定されていたクライマックスは大規模なアクションシーンだったが、より緊張感を重視した方向に変更された。
スラエルのエルサレムでの撮影は、本作の象徴的なシーンの一つであり、膨大なエキストラを動員してリアルなパニックを再現。ゾンビの動きや群れの表現には、CGと実写の両方が巧みに組み合わされ、映画ならではの新しいゾンビ像を生み出した。
ブラッド・ピットが主演だけでなくプロデューサーも兼任しており、制作初期段階から積極的に関与した。
また同映画は、3部作構成を予定されていたが、2025年初の現在はまだ続編の制作が予定されていない。
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